E-animal Hospitalは、日本全国の動物病院の院長を対象に下記のアンケートを実施しましたので、その結果を以下の通りご報告いたします。
名称 | 獣医師の需給に関するアンケート |
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実施対象 | 日本全国(1,314病院)の動物病院の院長 |
実施方法 | クローズド型インターネット調査 |
実施期間 | 2017年7月21日~2017年7月29日 |
設問 |
現在日本の獣医師数は足りていると思いますか? 現在日本の動物病院数は足りていると思いますか? 昨今の報道を受けて、感じること、考えたことについて |
回答数 | 109 |
【設問1】現在日本の獣医師数は足りていると思いますか?
「日本の獣医師数は足りている」が過半数、首都圏の小動物医療は飽和状態か。(回答数109)
獣医師の絶対数は足りているが、地域差・業界差が極めて大きい。 「足りている」と感じている獣医師でも、地方動物医療、大動物医療については不足していると感じている。 逆に、首都圏の小動物医療については、飽和状態との認識が強い。
◆日本の獣医師数は「足りている」 主な理由
- 診療から離れている獣医師が多いため、現場での人数不足離れて感じるが、総数としては足りていると思います。
- 数は足りているが職種に偏りがあるから
- 数は「足りている」。ただし適材適所ではない。また獣医師免許を取得しながら行使していない人も多数いる。つまり獣医師数ではなく労働条件やメンタルの問題が大きいと思う。
- 小動物臨床は飽和状態。その他、大動物、公務員は仕事内容、勤務地、報酬などから、希望者が少ないだけ。全体の獣医師絶対数では既に過剰と思われる為。
- 不足しているなんて耳にしないから。
- 住環境が整っていない地方以外で足りない話を聞かない。都市部では獣医師資格を使わない製薬・治験業界にも相当数人材が流れているから。
- 地域性がありすぎるのが欠点だが、数は足りていると思う。
- 産業動物獣医師や公衆衛生獣医師が不足しているのは、そちらの待遇がお粗末なためであり。小動物臨床に人材が偏在しているため。
- バランスが悪いがパートも多い
- 毎年動物病院が100件以上増加するほど獣医師がいる。
日本の獣医師数は「ちょうどいい」 主な理由
- 公務員や大動物が本当に少ないとは思えない
- 大都市の小動物獣医師は過剰。地方や過疎地、産業動物獣医師は不足。不均衡が是正されれば丁度良いはず。
- 需給のバランスが取れている。
- 職種、地域の不均衡が問題。
- 小動物の開業指向が多いだけで、獣医師としての数は十分である
- 偏在しているため。公務員や大動物診療の待遇が良くなれば、偏在は解消される。
日本の獣医師数は「足りていない」 主な理由
- 獣医師の代診の確保が大変である
- 公務員と大動物臨床は足りていない。小動物臨床は足りている。
- 大動物関係及び地方の小動物臨床医が不足している
- 地方では依然として獣医師が足りない
- 公務員、小動物も地方は足りてない
- 足りているのは東京・横浜だけ。地方の公務員・動物病院は大きく不足しており、特に人不足から生じる動物病院の過重労働は共通の問題になっている。
- 病院の数が増えており、1病院当たりの獣医師数が少なく、満足な診療ができていないと思われるから。
- 臨床だけでなく、衛生学に関して足りていない
- 臨床のみでなく様々な場面で御活躍いただきたい
- 臨床の現場にまで獣医師が来ないため
【設問2】現在日本の動物病院数は足りていると思いますか?
「足りている」「ちょうどいい」の合計が98%、医療レベルの低下を懸念。(回答数109)
「足りている」「ちょうどいい」の合計が98%。 人口減、ペット減の時代にも関わらず、開業医志向が根強く、病院が増え続けているとの意見が多数。 病院当たりの獣医師数が少なく、医療レベルの低下を懸念する院長も多い。
日本の動物病院数は「足りている」 主な理由
- 犬猫の飼育人口が≒15%として、3,000枚のカルテを擁するには、20,000人の人口が必要。1億2千万人の15%は、18,000千人÷3,000枚のカルテ=6,000件の病院
- 数よりも一次診療の質が問題と思います。
- 競合やコンサルが出て来る時点で飽和を示している。
- 自分の商圏に複数の病院がある。過疎地などを別として「数」は過剰なくらい。
- 既に多すぎる
- 都市部では飽和状態
- 今後、ペットの数は減少して行くことは明らかで、さらに現在動物病院過疎地など存在していない。
- あともう少し専門病院があればいい
- むしろ多すぎると思います。病院数が増えすぎているが、個人病院ばかりで余計に内容の薄い治療しかできていません。
- 人口あたりの病院数でカウントした際に、思ったほど地方と都市で差はない。数としては十分に足りている。都市は過密状態は否めないので、古い体質の病院は廃れていくべき
日本の動物病院数は「ちょうどいい」 主な理由
- 都心部が飽和しているだけで、まだ余地はある。ただ増やす必要はない。
- 病院数は足りているが、1病院あたりの獣医師は地方によりばらつきが多い
- 諸外国と比べても1診療所当たりの平均診療頭数は少ない
- 今ぐらいがいいのではと思います
- 特に不足を感じない
日本の動物病院数は「足りていない」 主な理由
- 地方はたりていない
【設問3】昨今の報道を受けて、感じること、考えたことについて
昨今の報道を受けて、感じること、考えたことについて、自由にコメントを投稿いただきました。
昨今の報道については不満感を抱く院長が多かったが、 条件付きの場合も含め、肯定的な意見も見られた。 報道内容自体に不満はあるものの、獣医師の待遇改善や、教育機関の改善について考える機会となったという意見もあった。
「現状で十分」に分類されるコメント
- 獣医大学の新設の必要はない
- 学部は今で十分だと思う。
- 新設は不要
「増やす必要性を感じない」に分類されるコメント
- 毎年新しく獣医師になる1000人弱という小さい業界の中で、160人という1割以上の増加ということは急すぎるのではと思う。いずれ国が国家試験合格率を下げて卒業したはいいが免許を取れない人も出てくるはず。
- 国家試験で合格者数をコントロールされたら獣医学性を増やしても意味ないのでは・・・農水省はどうするんだろうと思っています。
- 獣医師を増やしても、公務員の獣医師や産業動物の獣医師が増えるとは思えません。高齢化社会になり、ペットを飼える人数も減り、ペット数が減ると思われ、これ以上、小動物対象の動物病院や獣医師の数が増えれば、治療に対する単価を高くせざる負えなくなる可能性があります。人以上に高額な治療費を請求しなければ成り立たなくなる可能性があるかと思います。獣医師を目指したい若者はそもそもペットを可愛がっていて、小動物の獣医師になりたいと思って大学を受験していると思われます。
「まずは待遇改善」に分類されるコメント
- 足りないとされている分野が実際に何処なのか?疑問。もっと小動物以外も魅力的な職であるように地位の向上をするのが先。
- 行政や大動物で獣医師が足りないならば、増やすのではなく給与を上げるべきである
- 獣医師の社会的地位の向上、企業においても公務員においても獣医師手当などの充実(獣医師として採用されても獣医師資格手当がついていない)。また、小動物開業においても、勤務医・研修医の待遇改善を全体で行い、勤務医を経て開業というパターンを減らす努力をするべきである。
- 分野によっては過剰であり、不足分野もあるというのであればいかに不足している分野に呼び込むかと言うことを考えた方がいいと思う。自分の子供に継いで貰いたいと思えない
- 問題の公務員と産業動物は社会的な認知と待遇の良化が必要だと思っています。でもそれがどっか行っちゃって作ることか辞めさせることが両方目的になっちゃいましたね。それも作戦ならいいのだけど。
「獣医師教育、大学方針の改善」に分類されるコメント
- 既存の大学の定員を増やすべき
- 人の方もそうだが、獣医師よりも看護士育成に力を入れてほしい。
- 獣医学部を増設しても、飽和にある小動物臨床家が増えるだけ。公務員や、公衆衛生等に携わる獣医師を増やしたいのであれば、学費を無料にして、防衛医科大学校のようなシステムを構築すべき。
- 獣医教育制度と現行の組織制度を見直さない限り、教育の箱だけ増やしても根本的な獣医医療問題は変わらない。それはどこにどんな大学を1つだけ作ろうが解決しない問題。
- 獣医は足りていると思う。もしどうしても増やしたいのであれば、国立の定員を人大学当たり5人増やせば、優秀な公務員なり、研究員が増やせる。私立の獣医学部を作れば、大半は開業に行ってしまい、研究職、防災の担当する獣医は増えない。私立の獣医学部は認めるべきではない。
「改善案」に分類されるコメント
- TPP問題などを考えると、日本の産業動物業界を衰退させるわけにはいかないと感じる。ただ、厳しい環境の中での臨床など希望者が減少するのも理解できる。産業動物獣医師や公務員などの確保のために、卒後10年間従事すれば返済しなくて良い奨学金制度など、国や自治体が援助していくべきと考えます。獣医師を増やしたところで、地方などに残る者は殆どいないと思います。
- 新設大学を増やしても教員の確保が出来ないと思うし、教育、研究のバランスのとれた獣医師は皆無と思う。新設するよりは、既存大学の規模を拡大、あるいは統廃合した方がよいと思う。
「肯定~消極的肯定」に分類されるコメント
- 獣医大学を増やすことはしょうが無いこと。報道の仕方がナンセンスであって公務員獣医師が少ないこと、待遇が良くないことを問題にすべき。加計学園が出来たところで、公務員獣医師は増えないと思う。と言うのも私立の大学に入学してくる学生のほとんどが二世獣医師だから。
- 獣医科を増やすことには賛成。大学が獣医科を増設することに国の認可が厳しすぎると思われる。他の文系大学は多く増設されているのに。ただ、獣医師の分布に対して対策を考えないと小動物や都市部に集中し、現在獣医師が不足している職域や地域の解決につながらない。新大学も大動物中心のようにうたっているが、一旦就職後に転職すれば同じ事かと思われる。
- 毎年獣医師の獲得には頭を悩ませています。近隣の国立大学の学生はかなりの割合で公務員希望で、小動物希望は期待するより少ないです。西日本に私立大学ができることは当院にとっては大いなる期待です
「不快感、不満感」に分類されるコメント
- 恥ずかしい限りです。
- 政府側や上の人達の思惑と現場の現実・希望とが噛み合っていないまま進めていた事が突然露呈して、それに伴う様々な問題に対して個々の保身を行うが為に本当に必要としている人達がいる事がきちんと世間に伝わらず必要な事が頓挫してしまう状況は、大変に残念な事だと思います。
- 休みも給料も少ないのに、小動物臨床獣医師は儲けすぎているというような印象操作をされて不快です。
- 昨今の報道によって、獣医師の職域のことなど今まで一般の人に知られていなかったことが新聞の記事になったり、井戸端会議の話題になったりしたことは良かったなと思います。が、「利権と規制緩和」、「官邸と獣医師会」など、二元的な対立を匂わせるような印象操作をされるのには、それはちょっと・・・と思います。
- 多くの獣医師が総体的にみて新設を反対していたのに、このような結果になったのには以前から甚だ疑問でした。